「2020年の菜園について」
コロナ禍の活動自粛期間(3 月~ 5 月)
ここ山中 suplex では大規模な改装工事を取り行いました。
コロナウイルスとは関係なく、メンバーが増えたことで手狭になった作業場を拡張する事
が目的だったのですが結果的に各自の展覧会の延期、休業による‘余暇‘はメンバーの意
識を改装工事に短期間ではあるが向かわしたように思います。
普段なら各々の活動に時間を捻出するはずがそうできない事で生まれた時間であり、連帯
感がそこにあったと思います。
改装計画の区切りが見えだしたころに山中 suplex の菜園がスタートしました。
もともとこれは僕が個人で進めていて、鍬を入れたのは去年の四月でした。
しかしながら一年間、忙しさにかまけて栽培にまで至らずのところ、改装作業のついでに
みんなで鍬を入れ直し数日で畝をたて、防獣ネットたて、種を蒔き、キュウリやインゲン、
トマトなどの栽培が始まったのです。
植えた後の野菜の世話においては号令のもと集まって作業することはなく、僕がぼちぼち
とやっています。もういまは災害ユートピアっぽいモノは解体され、また別の共同体のよ
うになっています。
コロナウイルスの影響はこの菜園にカタチとなって現れたようにに思います。
キュウリの収穫ができ始めたのが 7 月の末頃。
久方ぶりの収穫作業に僕は胸を踊らしました。
メンバーにそのことを LINE で報告しその場にいあわした前谷開君に食べてもらいました
が、なんだか嬉しそうな顔が僕も嬉しかったです。
今では自分一人では食べきれない量の野菜が取れています。
仕事の合間に立ちより収穫してメンバーの目の届く所に置いて帰るのが僕のルーティンに
なっています。
誰のための野菜なのか。
誰のための畑なのか。そんなことについて考える必要も僕にはなく。ただそうしています。
自給的な生活、食物の自給のための活動を始めたのが 20 歳の時です。(今 31 歳)
そのころから継続的に断続的に、畑、水耕栽培、狩猟、漁、昆虫食、野草採集をしています。
その時から最近まで、僕は自分一人が自給できる事を念頭に活動していました。
基本的には自分の分を作るか捕る。しかしながら山中 suplex という共同体の中ではそうしよ
うとは思わないのです。誰かに食べて欲しいというのもあるし、僕の土地でもないという気
持ちもあります。なにより、前回の収穫時に置いておいた野菜がなくなっている事が嬉しい
のです。
メンバーを野菜で支えたいとか、そんな善良な愛があるわけではありません。
贈与する事で見返りを求めてるわけでもありません。
会話もそんなにないので、その野菜が嬉しいのかも実のところ分かりません。
今、僕の心中にあるのはなんだろうか。
考えていきたいです。
ところで皆様におかれましては最近どこのスーパーに行っても商品を手にする前にアルコー
ルなどで殺菌をしているでしょう。誰によって運ばれるか分からない、目に見えないウイル
スは不気味です。
安心して食べられる事が難しいとよく思います。
その理由のほとんどが人為ではあるんですが。
今日は来 sup くださりありがとうございます。
新鮮な野菜が欲しかったらまた、来てください。
ユートピアはどこにあるんだろう。
それを考えるのにここはとても良い場所です。
2020 年 8 月 16日
小西由悟
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